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数学が分かると未来が見える!

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日本IBMとの連携授業

 千葉大学教育学部附属中学校で7月9日、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)とNPO法人企業教育研究会(以下、ACE)が連携した数学の授業が行われた。
 架空に設定された未来のとある学園での生徒会長選挙を舞台に、調査データを分析して選挙動向を予測する。ゲスト講師として日本IBM社員の羽田さんを招き、データを分析するための視点や注意点を学ぶ内容だ。
 本授業は、日本IBMが、データを活用し、読み取り、分析できる人材を育成する一環として開発した。中学校数学の「資料の活用」とも関連させて、ビッグデータが社会でどのように活用されているかについて理解し、日常の学習との結びつきを実感することを目的としている。

データを読み解き投票動向を予測

 授業はゲームのようなデジタル教材に添って進んでいく。生徒たちは学園の新聞部の部員となり、生徒会長選挙の投票日まで時系列にそった3つの「ミッション」に取り組むことで、選挙結果を予測する新聞記事の根拠となるデータを理解し、分析する。
 1つ目のミッションでは、グラフの動き方や支持者の数の差などの相対的な部分に着目し、今年の途中経過と過去のデータを基に当選者を予測。2つ目のミッションでは、それぞれの立候補者の主張や演説を聞いた後、支持者の数やその属性がどう変動したかに着目し、当選者を予測する。3つ目のミッションでは、それまで支持者未定だった人達に着目。過去の選挙において、未定だった人達は最終的に何を基準に投票したかのデータと、各候補者のイメージ調査を交えて予測した。投票日前の最終予測となったこのミッションでは、羽田さんから「新たなデータだけではなく、これまでのミッションで扱った要素も踏まえて考えてください」と、アドバイスがあった。
 それぞれのミッションで、生徒たちは折れ線グラフや棒グラフ、複合グラフを読み解くほか、割合の計算なども組み合わせ、データの分析と結果の予測を行った。

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実社会で活きる数学

 最後に、日本IBMでは人々の行動や消費に関するビッグデータを分析・利用したサービスを構築していることが紹介された。羽田さんからは「データを使って色々分析をすることを仕事にしている人たちがいる。数学の学習を続けて、そういう分野で活躍をしてほしい。データ分析を専門とする仕事に就かなくとも、データや数字とつきあうことになる。今学習している内容はその基礎になっている」と、メッセージが伝えられた。
 授業後、生徒からは「数学というと、答えが一つに定まるが、今回は予想という一つに定まらない答だったので、不思議でおもしろかった」「データを見ることによって、ある程度の予測を付けることが可能だと分かった」「データだけでなく状況を実際に見ることも大切だと思った」といった感想が寄せられた。
 日本IBMでは、まずは関東地区の中学校を対象に、出張授業を実施していく予定だ。詳しい内容や出張授業の申し込みについては、NPO法人企業教育研究会事務局(電話・043・308・7229、E-mail:info@ace-npo.org)まで。

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