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社会とつなぐ理数教育プログラムの開発

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「図形の証明の活用例」

 2011年2月9日、「図形の証明(三角形の合同条件)」の学習内容が社会のさまざまな場面で利用されていることをテーマとした数学の授業(2年生)が、千葉県富里市立富里中学校で行われた。
 この授業は「社会とつなぐ理数教育プログラムの開発」事業の一環として行われた。独立行政法人科学技術振興機構の支援のもと、NPO法人企業教育研究会が実施。中学生を対象に、理数系を身近に実感することで進路選択に役立てるよう、さまざまな授業実践を行っている。

デジタルペンの仕組みを学習

 授業の最初は、デジタルペンという製品を実演。これは、手書きした内容がそのままデジタルデータに反映されるものだ。
 実際にデジタルペンを触った生徒は、「なんで?」と言って興味を示していた。紙面上のペン先の位置を測定するための仕組みは、付属の測定機とペン先を結んでできる三角形と合同な三角形をデジタル上で再現することによってできる。これを三角形の合同条件の復習をしながら解説した。

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ゲーム機や3Dプリンタでの活用

 平面から空間へ発展させると、最新ゲーム機のリモコンが位置を特定する仕組みにもつながる。三角形の模型を活用して視覚的に再現することで理解を深めた。
 その他にも、3Dプリンタなども映像を用いて紹介。土器の復元、義手義足の作成、部品の複製などをする際に使われ、これも三角形の合同条件の証明が基礎となっている。実物を紹介したときには、「すごい!」という声が挙がった。

数学の世界の広がりを実感

 授業全体のストーリーは、キャラクター化した古代数学史の人物が現代へタイムスリップして登場させるもの。数学史の中で解き明かされたことが、現代にもつながっていると理解できるようにした。
 生徒は「『証明なんて将来何の役に立つのか』と疑問に思っていたけれど、この授業を受けて、数学の大切さを改めて知った」「ふだん数学で習う証明が、私たちの身近にあるようなゲーム機に使われているとは思っていなかったので、びっくりした。これからもどんな物に使われているか知りたいと思いました」と感想を述べた。
 この授業の他にも「社会とつなぐ理数教育プログラムの開発」では、数学の一次関数をゲームプログラマーやディレクターなどの仕事から学ぶ「ゲーム制作と意外な関係」など、さまざまな単元で実践を行っている。

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