学校・保護者・企業を結ぶポータルサイト「学校ネット」

自動車産業の「今」と「未来」

20051219_01

日産自動車による出前授業

 「皆さんも日産の開発者になったつもりで、未来の車を考えてください。そして皆さんのアイデアを私に聞かせてください!」とビデオで依頼を受ける子どもたち。
 「よ~し、未来の自動車を提案しよう!」

働くことの意義・楽しさ学ぶ

 千葉県習志野市立谷津小学校での授業の様子だ。この授業は、経済産業省「地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクト」の一環として行われた。同プロジェクトは、子どもたちが働くことの意義・面白さを理解し、真に実社会で生かすことを目的として、職業教育などに知見・ノウハウを持つNPO・企業など民間主体を中核として全国で行われている。
 千葉県ではNPO法人企業教育研究会が受託し、県内10校(小学校4校・中学校4校・高校2校)でキャリア教育を実施している。同小学校では、日産自動車(株)の協力の下、「自動車産業の今、未来」の単元で授業を実施した。

未来の自動車を提案しよう

 授業では、日産自動車で働いている曽根公毅さんからの依頼を受け、子どもたちが環境・安全・福祉をテーマに未来の自動車を考えた。
 例えば、福祉をテーマに未来の自動車を考えた班の発表では、人口の高年齢化に関するデータを示したり、自分の祖母へのインタビューを紹介した後、「私たちは身体の不自由な人でも使いやすい車を考えました。例えば、手を使わず網膜で開くドアや、声で開くドア(ただし地方の人はなまりがあるので持ち主の声を登録するタイプのドア)を考えました」といったアイデアなどを発表した。
 発表時には曽根さんが来校し、「きちんとデータを取っていることが素晴らしい。実際の車の開発でもこのようにデータをと取って進めていきます。網膜は1人1人違うので、良いアイデアだと思います。ただ、声は誤作動が多いかもしれませんね。もうひと工夫を期待します」とそれぞれの班にコメントを述べた。
 授業の最後には、「私は、クルマ本来の魅力を引き出すこととクルマが社会と共生するにはどうしたらよいかを考えて仕事をしています。皆さんも、これからも未来の自動車を考えてください。」と児童にメッセージを送った。

写真

講師の「熱」を伝える

 5年3組担任の宮野光恵教諭は「実際に働いている方の立場に立って考えていく学習をしてきたことで、知識だけでなく働いている人の苦労や思いまで深く考えることができた。また、その方にお会いする機会を設けたことで、自分たちがその人の立場に立って考えてきたことを再確認することもできた。本やインターネットの調べ学習だけでは味わえない『人』を感じる学習になったと思う」と感想を語った。
 授業のコーディネートを行った同研究会の塩田真吾さんは「今回の授業では、自動車の開発に携わる曽根さんの『熱』が伝わったと思う。今後もこのような働く人の『熱』が伝わるようなキャリア教育を実施したい。また、学校現場の先生は要望があっても時間がないことが多いので、われわれのようなコーディネーターをもっと活用してもらえれば」と今後の目標を語った。

関連記事

ページ上部へ戻る