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キャリア教育をテーマにシンポジウム開催

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学校・NPO・企業が連携した授業事例などを紹介

 日本教育新聞社と教育貢献活動推進協議会は7月28日、このコラムと連動し、キャリア教育をテーマにしたシンポジウムを開催します。

シンポジウム開催にあたって

 フリーターやニートの増加が社会問題となる中、キャリア教育の推進が重要な課題として注目されています。私たちは、キャリア教育という言葉から、「さまざまな職業について学ばせること」や「自分が何をしたいのかを考えさせること」を想像しがちです。しかし、こうしたことだけで目的が達せられるほど、キャリア教育は簡単なものではないはずです。たとえば、中学校などで職業体験が多く行われるようになっていますが、地域の中で体験できる職業の種類は限定されますし、詳しい仕事内容を数日間で理解することは困難でしょう。また、自分が何をしたいか考えられない子どもが多くいます。

キャリア教育の進め方

 私たちは、キャリア教育を戦略的に進める必要があります。たとえば、次のことを検討する必要があるでしょう。
 第1に、子どもたちが「利他的な夢」を描けるようにすることです。単に「やりたいこと」では将来の夢を描きにくい子どもが多いでしょうし、やりたいことをやろうとするだけの「利己的な夢」はくじけやすいものです。世のため人のために役に立とうとする「利他的な夢」を描かせることが必要です。
 第2に、仕事の現場でいきいきと働いている人の姿を、日常の各教科や総合の授業の中で見せていくことが必要です。特に、企業でがんばっている人は皆、「利他的」な態度で働いています。そうした人の姿を数多く見せていくことが重要です。

 今回のシンポジウムでは、豊富な実践事例を交流することを通して、今後求められるキャリア教育の在り方について新たな展望をひらいていきたいと願っています。多くのみなさまのご参加をお待ちしております。
 (文:教育貢献活動推進協議会理事長・千葉大学教育学部助教授 藤川大祐)

第2回企業・NPOの力を活用した授業づくり提案シンポジウム結果報告

 平成17年7月28日、「第2回企業・NPOの力を活用した授業づくり提案シンポジウム~企業・NPOとつくるキャリア教育~」が開催された。このシンポジウムは、学校と企業・NPOの連携による授業づくりの推進を目指し、様々な企業や団体が連携しつつ、多くの授業実践を重ね、より効果的な教育支援を実現することを目的に活動している教育貢献活動推進協議会と日本教育新聞社の共同主催として実施された。特に今回のシンポジウムでは、「キャリア教育」をテーマに挙げ、実践の発表やディスカッションを通じて、最新の情報を入手してもらう会となった。

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小・中学校でも進むキャリア教育

 シンポジウムではまず、教育貢献活動推進協議会理事長であり、千葉大学教育学部助教授の藤川大祐氏が「企業・NPOと連携したキャリア教育の進め方」と題して基調講演を行った。ニートの社会問題化などを受け、学校教育において本格的にキャリア教育が進められている現状を解説しながら、これから求められるキャリア教育の在り方について説明した。特に児童・生徒に対し「さまざまな職業の人の姿に触れさせる」ことと、「利他的な夢を描かせる」ことの重要性を強調。企業の力を活用し、連携することでこれらを可能にしていく必要があることを伝えた。

 続いて、キャリア教育の先進事例の報告として株式会社リクルートワークス研究所の辰巳哲子氏が登壇。小学校でのキャリア教育の実践を紹介した。まず「自分を知る、自分の興味を知る」ことが小学生に適したキャリア教育だと考え、独自の教材を開発して授業を行ったという。発達段階にあったキャリア教育を行いつつ、保護者や地域を巻き込み協力してもらうことが成功する条件であることを紹介した。

連携で生まれた先進事例を多数紹介

 また、学校・企業・NPOの連携により行われたキャリア教育の事例として、千葉・本埜村立本埜第二小学校が読売新聞東京本社の協力を得て行った「言語技術教育プログラム」、千葉・旭市立富浦小学校が株式会社ロッテの協力を得て行った「おかしを題材とした教育プログラム」の2つの事例が報告された。
 それぞれ、各企業が持つ情報、技術、人材を有効に活用した授業で、子どもたちは目の前でプロの仕事に触れ、喜び、そして強く影響を受けたという。また、企業側も自らの企業活動を見直す機会となり、また社会・教育に貢献する喜びを社員に与えられるといったメリットがあったと報告した。

受講者同士の意見交換会も

 シンポジウムの最後には、発表者、受講者が一緒に参加しての参加型ディスカッション・意見交換会を実施。教職員のほか、企業関係者、NPO関係者など多種多様な人たちが多数集まったこの会では、それぞれの立場からの提案や情報提供など積極的に発言が行われた。普段、情報を交換する機会のない人たちの貴重な交流の場となったとあって、受講者からは高い評価を得るものとなった。

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