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社会とつながる授業のこれからを考える

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NPO法人企業教育研究会・10周年記念研究会

 企業の力を生かした授業開発を行っている特定非営利活動法人・企業教育研究会(以下、ACE)が、2002年の活動開始から10周年を迎えた。それを記念した定例研究会「千葉授業づくり研究会」の特別編が、昨年12月16日に千葉大学教育学部で開催された。会場には、教員、企業関係者、学生など、多くの参加者が集まり、これまでの10年を総括し、今後の展開を議論する1日となった。

学校外の大人が関わる意義とは

 4年生を対象に行われた授業では、トライサイエンスの「探査機を宇宙に送ろう!」の実験を行った。膨らませた風船にストローと安定飛行のための重りとなるおはじきを貼り付け、ストローに紐を通せばロケットの完成。風船の口を開けて空気を放出させれば、ロケットが進む簡単な仕組みだが、スムーズに飛ばすためにはおはじきやストローを貼り付ける位置がポイントとなる。ワークシートで設計図を書き、何回も飛ばす実験を行い、試行錯誤を繰り返しながらも、勢いよく飛ばすことに成功すると、驚きの声が上がった。
 最後に実際のロケットの仕組みと実験で使用した風船が飛ぶ仕組みとの関係や、世界のロケットに関する紹介を受け、45分の授業が終了。「ロケットがどうやって飛ぶか、仕組みが良くわかった」「他の道具で実験をしたらどのくらい飛ぶのかやってみたい」との感想が飛び出し、知識の理解だけでなく、実験や科学への興味を引き立てる授業となった。

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学校での活用を提案

 その後、第1部として、佐伯胖・青山学院大学教授による『「学び」と「まなびほぐし」』と題された講演を開催。「企業と連携した授業づくりを行ってきたACEは、教育内容の「脱学校化」において大きな貢献をしている。しかし、学びのあり方を「脱学校化」しなければ「学校化」を広げるだけになってしまうのではないか」という指摘から始まり、学校の授業に企業やNPOが連携する意義を問い直す内容となった。
 社会で活躍する大人を教室に呼んだ時、教師は共感的に子どもとともにその「すごさ」を見ること。子どもとともにその「すごさ」を味わうこと。そして、子どもが見ているその一歩先を指摘して、味わいなおしをさせることが子どもの「学び」につながる。その仕掛けを行うことが、社会とつながる学習の取り組みであることが指摘された。
 第2部は、シンポジウム「企業とつくる授業 これまでの10年 これからの10年」を開催。これまでに取り組んできた企業との連携授業の実践事例をもとに、学校の外部にいる大人が学校の中で授業に関わる効果や、そのあり方が参加者とともに議論された。

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