学校・保護者・企業を結ぶポータルサイト「学校ネット」

アニメーションで図形の証明を学ぶ

20120723_01

第28回学習デジタル教材コンクール文部科学大臣賞(団体)受賞

 平成24年6月、公益財団法人学習ソフトウェア情報研究センターが主催する「第28回デジタル教材コンクール」の結果が発表された。その中で、NPO法人企業教育研究会(以下、ACE)の制作したアニメーション教材『証明~歴史から現代の技術へ~』が、文部科学大臣賞を受賞した。
 この教材は、平成21年度からの2年間にわたり、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の「社会とつながる理数教育プログラムの開発」事業の中でACEが開発した。中学校数学の中でも苦手意識を持ちやすい「図形と証明」に関する単元の導入で使用する教材だ。

図形の証明の歴史と現代社会への応用を学ぶ

 この教材は、パワーポイント等で動作する。教員が自分の説明するタイミングに合わせて動かすことができる。最初に、歴史上初めて「証明」をしたとされる古代ギリシャの哲学者・タレスがキャラクターとして登場。古代エジプト人が土地の広さを正確に把握するために行っていた測量の手法を、ギリシャの人にも納得してもらえるように、測り方が正しいことを「証明」しようとしたストーリーが、かわいらしい動きともに表現されている。
 その後、ユークリッドの『原論』でさまざまな図形・証明に関することがまとめられ、学問として発展していった歴史を知る。そして、現代でも地図の「証明」が社会の中で生かされていることに話題が移っていく。地図の塗り分けに最低限必要な色の数を証明した「四色定理」の考え方が、20世紀後半にコンピュータを利用することで初めて証明され、携帯電話の基地局配置に応用されていることを学ぶ。多くの先人の営みの延長線上に、学習内容があることを意識させることができる。

写真

Webで教材を公開中

 ACEでは、アニメーション教材に合わせてワークシートも開発。問題を解きながら、授業を進めることができる。また、単元の最後には、3Dプリンタの仕組みやゲーム機の操作に図形の証明が応用されていることを学習する授業も開発した。この他に、指導案をまとめた報告書も無料で取り寄せることができる。
 今回の受賞にあたり、教材を開発したACE主任研究員の阿部学さんは「数学に携わってきた「人」に焦点を当てた内容だったが、想像以上に子どもたちは興味をもってくれた。タレスが動く様子に「かわいい」というキャラクターへの共感を表す声も聞こえた。今後も、こうした子どもたちの共感を誘えるような教材づくりを進めていきたい」と語った。

関連記事

ページ上部へ戻る