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タネが教えてくれる「生命」

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株式会社サカタのタネと連携した授業

 「えっ!何これ!?」「真っ黒で不気味だ。痛そうで怖い!」
 突然提示された、見たこともない物体を恐る恐る手にする子どもたち。今年7月に千葉県の船橋市立法典西小学校の6年生を対象に実施された「タネの授業」の導入の様子だ。
 生命の学習の必要性が叫ばれて久しいが、自然界のタネたちが環境に順応しながらもしたたかに生きる姿やその仕組みの素晴らしさ、企業のタネ開発の努力などに気付かせていく授業には意義がある。自然認識を新たにして自他の生命を大切にし、よりよく生きていく豊かな子どもの育成につながる。今回、NPO法人企業教育研究会と、株式会社サカタのタネの淡野さんとによる連携で、新しい授業が実現した。

ツノゴマのタネから生命のつながりを学ぶ

 1時間目は、中南米が原産地である「ツノゴマ」の実物を見せるところから始まった。真っ黒で鋭く尖った大きな2本の爪をもった不気味なツノゴマのタネは「悪魔の爪」の異名をとる。「植物なのになぜこんな恐ろしい姿形になったのか?」大きな驚きと疑問を、手作り紙芝居「ツノゴマくん物語」で解説する。
 「広く遠く子孫を残したいが、タネは自分で動くことはできない」という現実を打破し、厳しい乾燥地帯で動物や人間を傷つけてまで自分の子孫を増やすツノゴマ。だからこんな怖い姿になったのだ。と、ツノゴマの生き様や凄さに認識を新たにする。他にも、火事で発芽するブラシノキのタネや、2千年も眠り続けた古代ハスのタネなど、自然界の不思議と、環境に応じたしたたかな命のつなげ方に、驚きと感動をもって授業は進む。

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未来のタネを考えよう!

 2時間目は、サカタのタネの淡野さんが登場。二酸化炭素の吸収力が高い、サンパチェンスという植物や、自らが開発に関わった品種について紹介する。さらに、担任のインタビューを皮切りに、子どもたちも淡野さんに質問。子どもの頃のことや、新しい品種の開発にたずさわった話、開発から広報に仕事の内容が変わった話など、生命のつながりに貢献する淡野さんの仕事や生き方を理解していく。
 最後は、淡野さんが子どもたちに「未来のタネを考えてください」と依頼。「水がなくても育つタネ」、「上にも地下にも実がなるタネ」など子どもたちはアイデアを出して、淡野さんから専門的な解説と「花まる」の評価をもらった。
 「タネはけなげだな。子孫を残すためにいろいろな工夫をしていてがんばっている。今まで野菜を食べる時、タネはじゃまな物と思っていたけどえらいな」「ぼくもがんばったらブリーダーになれるかな?」などの感想から、タネへの認識を新たにして、充足感を得た子どもたちの様子がうかがわれる。

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