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授業のユニバーサルデザイン化を考える

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ソフトバンクモバイルとNPO団体が研究会を開催

 発達障がいのある子どもに対する、特別支援教育の視点を生かした授業づくりや学習支援を行う取り組みが全国で進む中、東京・大手町の会議室では「発達障害ユニバーサル授業研究会」が開催された。
 NPO法人企業教育研究会、日本メディアリテラシー教育推進機構、就労支援推進ネットワーク、発達障害児支援アカンパニストなどの授業づくりや発達障害のある人への支援を行う団体と、ソフトバンクモバイル株式会社が協力して開催。学校教育関係者や発達障がいを持つ当事者など50名以上が参加して、授業のユニバーサルデザイン化について意見交換を行った。

企業だからこそできる支援がある

 最初に、ソフトバンクモバイル株式会社CSR推進部社会貢献推進課課長、長束泰孝さんが登場。同社が東京大学先端科学技術研究センターと共同で障がいのある子どもへの支援を研究している「あきちゃんの魔法のポケット」プロジェクトが紹介された。
 携帯電話の多様な機能を使い、コミュニケーションや学習、生活管理を支援するもので、携帯電話を扱う企業独自の経営資源を生かした取り組みだ。今後の発展に、会場からも期待が寄せられた。

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模擬授業を受けて考える

 次に、同社が無料で提供している情報モラル教材『考えよう、ケータイ』を使った模擬授業が行われた。この教材は、教師による授業実施を支援する目的で、2008年12月から配布を開始。この1年間で、2330冊を全国の希望する学校や教育機関に配布している。
 また、NPOスタッフが、教育委員会や学校の研修会などで、教師を対象にした研修会を開催。授業の進め方などについて説明も行なっている。『考えよう、ケータイ』を使った授業は、子どもがメールの送受信やブログなどの情報発信を行う際に陥りがちな点を題材にしたドラマを鑑賞して、問題点をグループで話し合ったりドラマの主人公に対してアドバイスを考えるといった流れで進んでいく。
 「情報発信編」の模擬授業終了後、まずは障がいを持つ当事者から意見が出された。「短時間で記憶しづらいので情報量を少なくしてほしい」「ワークシートに字を書いたり消したりするうちに忘れてしまうので、意見をまとめづらい」「画面の飾り部分が目に入ってしまい、文字情報が目に入らない」「ドラマの人物の顔と名前が覚えられない」「熟語の一部だけをあえて平仮名で書かれるととても気になる」といった、数多くの視点が提供された。
 さらに、教員や学習支援員からは現場経験に基づいた意見が出された後、司会者からこれまでの常識をくつがえして考える必要性が指摘され、所定の3時間が終了した。参加者からは「当事者の意見や支援者の経験が聞ける貴重な機会だ」、「今後の授業の進め方に大いに参考になる」といった感想が集まった。

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