地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクト(3)
「僕たちのグループは、電磁石を強くするために、細いエナメル線を鉄心の端の方に重ねて巻きました」「私たちの電磁石の工夫は、太いエナメル線をきれいに重ねて巻いたところです」
電磁石の働きを知る
千葉・柏市立中原小学校6年生での授業の様子だ。この授業は、経済産業省「地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクト」の一環として、NPO法人企業教育研究会がコーディネートを行い、マブチモーター(株)の協力の下、行われた。授業内容は理科の「電磁石のはたらき」。今回は、単元の導入の授業である「製品を分解してみよう!」とまとめの授業である「最強の電磁石をつくろう!」の様子を取材した。
製品を分解してみよう!
単元の導入の授業では、子どもたちが身近な製品のどんなところにモーターが使われているかを考えた後、2人1組で実際の製品(電動歯ブラシ)を分解。さらに、同社の外山信夫さんが講師となり、同社のフラッシュアニメを用いながら、デジタルカメラやDVDデッキなどにモーターが使われている様子を紹介した。また、実際のゲーム機や携帯電話などを児童の目の前で分解し、ゲーム機や携帯電話にモーターが使われている様子をプロジェクターで映し出しながら紹介した。
自分の電磁石をつくろう!
単元の後半では、今までの学習を基に子どもたちが最強の電磁石づくりにチャレンジ。単1電池1本、太さ0・4mmから0・8mm、長さ1・2mのエナメル線を用い、巻き数や巻き方、さらに鉄心の太さや長さなどを工夫しながら、より多くのクリップを付けることのできる電磁石を製作していく。授業の最後では、クラスの予選を勝ち抜いたグループが発表を行った。「僕たちのグループは、電磁石を強くするために、細いエナメル線を鉄心の端の方に重ねて巻きました。では、やってみたいと思います」
実際にクリップを付け、重さを量る。「21gです」「おー!!」。それぞれのグループが10~30gのクリップを持ち上げた。発表会に参加した講師の外山さんは、それぞれのグループにコメントを行った後、自らが製作した電磁石を紹介。自ら製作した電磁石で児童の2倍以上のクリップを持ち上げると、児童からは歓声が上がった。
講師の転機グラフを見てみよう
授業の最後には、講師のこれまでの人生の転機をグラフ(人生転機グラフ)にして紹介。子どものころからラジコン模型が好きだったことや、社会人になり多くのモーター駆動精神の試作に携わるなど、長年勤めてきた仕事の楽しさややりがいなどを説明し、「私は、子どものころから好きだったことが仕事になりました。ぜひ皆さんも今好きなことを大切にしてください」とメッセージを送った。