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教育ソリューションフェア2006
教育ソリューションフェア2006報告
環境・エネルギー教育セミナー
「第4回全国エネルギー教育フォーラム」

主催 : 日本教育新聞社
共催 : (財)電力中央研究所
協賛・協力 : (財)社会経済生産性本部・エネルギー環境教育情報センター、東京電力(株)
後援 : 文部科学省、環境省、他
[環境学習]
「地球が暖かくなる理由」
講師 : 電力中央研究所上席研究員 横山隆壽氏


CO2を減らすことが課題

電力中央研究所上席研究員横山隆壽氏宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」という作品に冷害を防止するため火山島を爆発させ、噴出する炭酸ガスで気候を温暖化させる話が出てくる。噴出ガスは大循環の上層風にまじって地球全体を包むだろうとか、熱の放射を防いで地球全体を平均で5度くらい暖かくするだろうといった記述もある。
これは大気大循環や偏西風、温室効果のことで、賢治は75年前に没した人なのに、私たちが現在直面している地球温暖化について、すでにロジカルに理解していたのか、と感心させられる。
地球温暖化の議論が始まったのは80年代後半からだが、91年に米ワシントンポスト紙は「温暖化の事実」というタイトルで、大気中の二酸化炭素(CO2)が増加してきたこと、地球全体の平均温度が2100年までに約2℃上昇するとの予測を記事にしている。
IPCC(気候変化に関する政府間パネル)が95年に発表した第3次評価報告書によると、過去50年間の温暖化は人間の活動が原因であるとし、地球温暖化と海面上昇を予測している。
大気中にはもともと自然な濃度のCO2は存在する。18世紀の産業革命以前は280ppmぐらいの濃度だったが、2000年には350ppmを超えた。これは化石燃料からの排出が増えたためだ。とくに石油は第2次世界大戦中に、中東で安価な1ドル原油が発見されたことが大きい。
このようにCO2を最も多い量とする温室効果ガスの増加は、人間活動に起因するガス排出による。地球のエネルギー源は太陽から注がれる光と熱。太陽エネルギーは一定であっても、地球を取り巻く大気の成分が変化することで気象システムが変わり、生き物の生命の環境条件が変わることになる。
私たちは化石燃料の時代に生きている。国産エネルギー資源のない日本は、化石燃料を絶たれれば深刻なエネルギー不足に陥ってしまうだろう。世界人口は2050年には、現在の60億人からさらに30億人も増加し、資源の供給―消費のサイクルに加わってくると予想されるから大変だ。
「今年も参加型のワークショップが開催された」現代のトレンドは人口の増加と大量生産、大量消費、大量廃棄のライフスタイル。しかもなお、化石燃料時代は続く。排出されたCO2は森林と海洋で53%吸収されるが、あとの47%は大気に蓄積される。京都議定書で義務付けられた各国の削減量ではとてもCO2の増加を抑制できない。
今後どうなるのか。地球全体の平均気温は今後100年の間に2〜3℃上昇するのではないかと予測される。そうなると、北極域のカナダ、チベットの高地、ロシアのツンドラ地帯、アラスカなどの凍土融解が予測される。キリマンジェロの雪はすでに減少している。
CO2がなぜ排出されるのか。どうすれば減らすことができるのか。今後もずっと私たちが考えていかなければいけない問題だ。
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[エネルギー学習]
「世界のエネルギー事情・授業づくりのポイントを探る」
講師:四日市大学環境情報学部教授、電力中央研究所理事待遇 新田義孝氏


環境問題理解を「知識」から「リテラシー」に

四日市大学環境情報学部教授 電力中央研究所理事待遇 新田義孝氏世界のエネルギー事情を考える第1のポイントは「エネルギーは十分に供給可能か」という問題。最近の石油価格高騰は石油生産量が限界に近づいていることの反映なのだろうか。キャンベルの石油枯渇曲線は2010年〜50年頃に生産のピークが来るとしている。石油枯渇をめぐっては楽観論もあるが、新しい油井を開発できる地域が、採掘しにくいアフリカや深海に限られていることを考えると、エネルギー情勢はキャンベルの主張に沿って動いているような気がする。
ピークオイルを乗り越えられるのは、今のところ石炭しかない。ウラン資源にも限界論があるので、日本はウランを有効に利用できる高速増殖炉の技術を確立しておかなくてはいけない、ということが言える。
第2のポイントは「エネルギーをふんだんに使えるのか」という問題。答えは自明だ。人工衛星から見ると、地球の大気は非常に薄くて壊れやすいものだと実感する。アメリカの金融界には、地球温暖化、気候変動、酸性雨などエネルギー消費量の増大が人類の活動上、無視できないリスクをもたらしていると捉える兆しが見える。気候変動リスクはビジネスになっている。
05年5月、ニューヨークの国連本部に各国から機関投資家400人が集まり、気候変動リスクへの対応を議論した。投資家には、短期的にはエネルギーの効率化、将来的には化石燃料を使わない新技術に投資するべきだとの認識が常識になっている。
投資家は環境を破壊する事業には投資するな、という考え方だ。企業を評価する尺度として経済、社会、環境という「トリプル・ボトムライン」を挙げ、社会は経済の上に立ち、経済は地球の生態系の上に成り立つと理解する。それがCSR(企業の社会的責任)という概念で企業行動の潮流をつくっている。
さて、日本に何ができるのか。日本は公害、石油ショックを克服し、省エネルギー技術で世界のトップランナーだ。日本が貢献できなければ、エネルギーをめぐる国際紛争は絶えることがないだろう。子どもたちが日本は総合力でまさっていることに気づき、エネルギー問題とは何だろうか、日本や世界のために自分も何か貢献できるかもしれないと考えたとき、教育は成功したと言えるのだと思う。
エネルギー問題は宗教的・倫理的、政治的、経済的な要素をはらんだ問題である。それは理科、社会科、あるいは家庭科からの理解につながる総合的な問題だと思う。これからの教育は、考える人の育成が必要であり、エネルギー環境問題への理解を、「知識」から「素養(リテラシー)」に昇華させなければいけない。
温暖化が進むことで海水面が上昇するというのは知識。上昇するとなぜ不都合が起きるのか、思考を発展させてゆく能力が素養。知識が知恵に変わる。そのために、「なぜ?」をたくさん用意することが、中等高等教育、とくに小学校では非常に重要だ。
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[ワークショップ環境学習]
「川の学習のヒント 水の汚れを調べよう」
講師:資源協会参与(元電力中央研究所上席研究員) 菅沼浩敏氏


目で見る変化に関心集まる

資源協会参与(元電力中央研究所上席研究員)菅沼浩敏氏「水の惑星」と言われる地球だが、地球上に存在する水はほとんどが海水で、私たちが生活に利用できる淡水はわずか0.04%にしか過ぎない。地球規模で水資源を考えることの大切さに触れることから、菅沼氏の講義が始まった。
貴重な生活用水をどう浄水するか。この問題を考える入り口として、講義は河川や湖沼の水質汚濁の測定方法へ。千葉県の手賀沼の水質調査などにたずさわってきた菅沼氏は、都市河川の汚れの原因の大半は台所から出る調理カス、食べ残し、洗濯、風呂、トイレなどから出る生活排水にあると指摘し、「流入する経路調べは学習材料になるはず」と、ヒントを挙げた。
菅沼氏は、この講義では水の汚れを測る目安の一つであるCODを取り上げた。汚れの大半を占める有機物を分解するのに必要な化学的酸素要求量のことで、ppmまたはmg/・で値が示される。湖沼の水質基準地は5ppm。しかし、汚染の進んだ河川の下流では50ppmを超えることもあるという。「家庭でできる水質浄化の方法を、学校でも考えてみてほしい」

「ムラサキキャベツを使った実験」後半は実験タイム。机上にレモン水、酢、水道水、重曹水、石鹸水、コメのとぎ汁などが入ったコップが並ぶ。菅沼氏に促されて、まずは聴講者がそれぞれのコップに、長さ7・ほどの半透明のプラスチック製パックから白い粉末を注ぐパックテストを試みた。みるみる液体の色が変化した。
この簡易水質測定器を使って変化した色を、色見本帳と照合してCODを調べる。強酸性のレモン汁はpH2、米のとぎ汁はpH7前後の値が読み取れた。
次は、刻んだムラサキキャベツを焼酎に漬けて抽出したアントシアニンという色素を注ぐ実験。コップに注ぐとこれまた色が変わった。酸性だと濃いめのピンク、アルカリ性では青に変色する。鮮やかな変化に、聴講者から「ほう」と声が上がった。
水溶性色素のアントシアニンはポリフェノールの一種。赤いブドウ、ブルーベリー、シソなどに含まれるが、ムラサキキャベツが実験には最適とい資源協会参与(元電力中央研究所上席研究員) 菅沼浩敏氏う。
菅沼氏は「植物の色素を使えば、子どもたちも面白がって環境に関心を持つのではないか。実験を通して水の環境について考える機会を作ってほしいと思う」と締めくくった。
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[ワークショップエネルギー学習]
「釣り糸で光ファイバーの仕組みを知ろう」
講師 : 電力中央研究所 栗原雅幸氏


釣り糸の先端から光の花咲く

電力中央研究所 栗原雅幸氏「光には速度がある」と言ったのはガリレオ。「光の速度は無限大だ」とはデカルトの言葉。デンマークの天文学者レーマーは光の速度の値を計算した。栗原氏はそんな光の研究史を紹介しつつ、光ファイバーの原理を説いた。
光には直進する性質があるが、異なった触媒(水やガラス)に入ると反射、屈折する。屈折率の大きな水中から、屈折率の小さな空気中に光が進むと、入射角の大きさによって空気中へ進む屈折光と、水面=境界面で水中に反射する反射光とが生じる。
このとき屈折が起きる最大の入射角を臨界角というが、入射角が臨界角よりも大きいと、光はすべて境界面で反射されることになる。つまり全反射が起きる。「光が水中に戻ってきてしまうわけで、入射角によって光を外に逃さずに閉じ込めることができる。これが光ファイバーの原理だ」
もう一つは、2点間を進む光が屈折率の異なる触媒中を通るとき、最小の時間になる経路を選ぶという性質(フェルマーの原理)の応用。光ファイバーは内側が屈折率の大きなコア層、外側から屈折率の小さなクラッド層が包むような構造になっている。ファイバーに入射する光は、光が持つ性質に忠実に、コア層の中で全反射を繰り返しながら伝わってゆく。
ファイバーの材質などの講義を経て、いよいよ釣り糸光ファイバーを作る実験へ。
「熱心に釣り糸を差し込む受講者」聴講者全員に実験キットが配布された。中には5cm角の厚紙、長さ5mのナイロン製の釣り糸、発光ダイオード、赤、青2種類のリード線、長さ5cmに切ったストロー、アルミ箔、大小種類のカバーフィルムなど。このほか工作用のハサミ、瞬間接着剤などが配られた。
講師の指示に従って工作が進行する。厚紙の中央に小さな穴を2つ開けて発光ダイオードを通す。リード線をつなげ、単4形乾電池が入る電池ボックスに接続。発光ダイオードにストローをかぶせ、10cmほどに切った釣り糸を生け花のように差し込む・・・。
ざっと、そのような手順で進み、発光ダイオードの光が釣り糸の先端に触れるように状態を確認し、電池をセットすると、聴講者の机の上に次々と青、緑、赤の光の花が咲いた。みなさん、さすがにうれしそう。講師をねぎらう拍手が起きた。
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[実践発表(環境学習)]
「これからの学校環境教育を考える〜環境省・エコフロー事業を中心に〜」
発表者 :
エコフローサポート本部
善養寺幸子氏(オーガニックテーブル代表取締役)
東京都江戸川区立 上一色南小学校 元校長 守矢早苗氏


オーガニックテーブル代表取締役 善養寺幸子氏環境省が推進中の「学校エコ改修と環境教育」事業は、民間のチエを政策に反映させるというユニークな試み。その政策提言最優秀賞を受賞し、事業化とともに全国のモデル校へのアドバイスを行っているエコフローサポート本部の善養寺氏が、東京都江戸川区立上一色南小学校に対する環境教育の支援活動を報告した。
同校の子どもたちは竪穴式住居を建設することから始まり、遂には、おとな顔負けのアイデアで校舎の大改造案を発表するまでになった。「この実践学習では、教師向けのワークショップを行って、まず先生方に消化してもらい、自分の言葉で子どもたちに伝達する手法を取った。外部の手助けが必要な場合にのみ、私たちがコーディネートしてきた」と善養寺氏。「環境問題は地域の歴史、文化、風土などすべてにかかわり、あらゆる教科に関連する。身近な視点から、構えずに取り組むことが大切だと思う」と話した。
国語力の向上に力を入れてきた上一色南小は、環境教育実験調査モデル校として、一見異質に見える国語教育と環境教育の両立に成功した。当時校長だった守矢氏は、成功のカギは3〜5年生の「上南・国語力向上プラン」をしっかり立て、総合学習の時間を使ってうまく他教科と関連付けられたことにあったと語った。
とくに近くを流れる川をテーマにした4年生の調査学習は劇作にまで発展し、地域住民から高い評価を得た逸話を披露、身近な環境学習の大切さを強調した。
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[実践発表(エネルギー学習)]
「エネルギー学習実践校発表」
発表者 :
茨城県つくば市立吾妻小学校 市村毅教諭
東京都杉並区立 和田中学校 青木久美子教諭


東京都杉並区立和田中学校 青木久美子教諭エネルギー環境教育情報センターが実施するエネルギー教育実践校の指定校である2校とも、活動3年目を迎えている。理科教育に重点を置いていた吾妻小は4つのS(Science、System、Study、Support)を掲げた「吾妻プロジェクトS」を実践の旗印にしているが、このScienceの中にエネルギー教育が位置づけられている。
なぜエネルギー教育なのか。市村教諭は「問題解決型の学習は、結果をすぐ家庭の中で生かすことができるというリアリティがあるため」と説明した。指導法は体験活動重視、発達段階に即した問題解決型の学習を展開しているという。
和田中は民間出身の校長や、よのなか科の設置で話題になった学校。エネルギー教育も社会とのつながりにねらいを置いている。
同校は企業とのコラボレーションに力を入れ、教育支援プログラムや出張授業を積極的に受け入れている。青木教諭は「企業の担当者に自社の取り組みを熱く語ってもらうと、生徒はおとなたちの仕事に取り組む姿を知る。キャリア観の形成にもつながる」と話した。
企業22社から環境報告書とCSR報告書を取り寄せて教材にし、各企業がどのくらい環境負荷の低減、省エネに配慮しているのかを調べる学習を行っている。「企業情報を授業に生かすため、企業に声を掛けることをぜひお奨めする」と青木教諭は結んだ。
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[ガイダンス(環境学習)]
「自然体験活動への支援」
講師:東京電力環境部環境交流グループ副長 田中丈夫氏


東京電力環境部環境交流グループ副長 田中丈夫氏東京電力が行っているエネルギー・環境講座は毎年10数万人の子どもたちが受講するというマンモス学習支援。自然体験の機会の提供にも熱心だ。田中氏はそうした同社の環境教育支援を詳細に紹介した。
とりわけ力を込めたのは教職員を対象にした環境教育支援。同社は93年から、小学4〜6年生を主な対象に自然体験プログラム「TEPCOペアウォッチング」続けているが、この手法を教職員向けに生かそうと内容の充実を図っているという。
柱は環境教育研修会。田中氏によれば、内容は自然体験活動の留意点や安全管理を学ぶワークショップ、フィールド学習の指導のポイントなどで、全日と2日間の2コースが用意されている。講師は佐々木洋氏。20年以上にわたり自然観察の指導にたずさわっているプロ・ナチュラリスト(自然案内人)だ。
東電は今年2月、教員でつくる全国小中学校環境教育研究会とのタイアップによる初の研修会を開いた。田中氏は「環境という側面からみたエネルギー問題への理解が足りないという声に少しでも応えたい」と語り、聴講者に研修会の活用を呼びかけた。
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[ガイダンス(エネルギー学習)]
「エネルギー教育ガイドラインのポイントと活用に当たっての留意点」
講師 :
(財)社会経済生産性本部・エネルギー環境教育情報センター 大内敏史氏
東京都練馬区立 高松小学校教諭 石川直彦氏
東京都武蔵村山市立 第四中学校教諭 中村茂氏


(財)社会経済生産性本部・エネルギー環境教育情報センター 大内敏史氏エネルギー環境教育情報センターが作成した冊子「エネルギー教育ガイドライン」が品不足になるほどの反響を呼んでいる。それだけエネルギー教育の進め方に悩む教師が多いと言えそう。その一面を、冊子作成の検討委員の大内氏が、3千校を対象にしたアンケート結果から次のように紹介した。
エネルギー教育が大事なことを認識している教師は9割、授業は教科書をなぞるだけという教師は7割、総合学習の時間でエネルギーを扱っている学校は1割しかなかった。悩みとともに指摘された問題点は「時間不足」「学年間、教科間の系統性がない」「体系化されていない」―が多かった。
ガイドラインはそうした声が作成の動機になったと大内氏。総合学習とあわせて教科ごとの具体的なエネルギー教育の進め方について詳細に内容を紹介した。
教壇に立つ立場での検討委員の石川教諭は「学年の発達段階と、中学とのつながりを考慮して作成した」。中村教諭は「このガイドラインは小学、中学、高校が俯瞰して見える。いま中学校でエネルギーの何を教えればよいのか把握できる」と指針の重要性を指摘した。
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