原子力発電の原理を知っている高校生はたった38%
原子力発電の基本原理を一文で説明せよ。この問いに、欧米では約80%の高校生が正答を出すのに、日本の高校生は38%しか答えられない。原発に賛成か反対かは別として、このような基礎知識は教えなくてはならないと思う。以下に授業の骨格を示す。
問いかけながら原子力発電の基本原理を確認
【原理・その1】
問い1:ガソリンエンジンの基本原理を3つのキーワードで説明しなさい。『( )が( )えて力を出す』。答えは「ガソリンが燃えて力を出す。」である。
問い2:原子力発電の基本原理を3つのキーワードで説明しなさい。『( )が( )して( )を出す』。おそらく正解は出ない。答えは「ウランが核分裂して熱を出す」である。核分裂について、図1を使って説明する。
1.ウランが中性子を吸収すると分裂する。
2.このときに熱が出る。どのぐらいの熱が出るのか。(ペレットの模型を見せて次のように問う)
問い3:原子炉の燃料、ペレットと言います。これ1個で1軒の家、何カ月分の電気を作れると思いますか。1カ月・3カ月・6カ月のどれかに手を挙げなさい。「正解は、6カ月から8カ月。この小指の先ほどのペレット1個は、石油に換算してドラム缶500本分にあたる。」という説明をすると、子どもたちはウランの持っているエネルギーの大きさを知ってオオーッと驚く。「原子力の秘密はこれだけではない。聞きたいですか?」「聞きたくないならやめようかな」と、じらしながら次へ進む。
ウランとプルトニウムについて知ろう
【原理・その2】
原子炉内でプルトニウムができることを知る。
1.ウランには、同位体というものがある。性質の違う双子のようなものだ。代表的なものはウラン235とウラン238である。ウラン235は核分裂するが、ウラン238は核分裂しない。
問い4:原子力発電に使えるのは、どちらのウランですか。答えはウラン235。
2.天然ウランは、ウラン235とウラン238が混ざった状態で存在する。
問い5:核分裂するウラン235は天然ウランの中に何%含まれていると思いますか。@50%ぐらいA30%ぐらいB10%ぐらいC1%未満。ほとんどの子は30%か50%ぐらいと答える。実は0.7%しか含まれていないことを教える。「エー。たったのそれだけ!」という声がもれる。
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ウランがプルトニウムに変わる様子を図を活用して説明
問い6:残りの97.5%あるウラン238は役に立たないのでしょうか。子どもの反応を見て以下の説明をする。
3.原子炉の中ではもう1つ反応が起こっている。(右図)
核分裂しないウラン238が、原子炉内で余った中性子を取り込むとプルトニウム239という原子に変わる。プルトニウム239は核分裂する。つまり、原子炉の燃料として使える。
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図1 ウランの核分裂と プルトニウムの生成を説明する図
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子どもに正しい知識を裏付けされた判断をさせよう
4.使用済み燃料の構成は右の図のようになっている。ウラン235が1%。プルトニウム239が1%。ウラン238が95%。だから、まだ使えるものを取り出して新しい燃料ができる。
5.これを原子燃料サイクルという。(サイクル図にして示すと良い)
ごみとして捨てられるはずのものが、もう一度燃料としてよみがえることを知ると、子どもたちは「へえー。原子力ってすごいんだ」という顔をする。最後に、このようにすれば輸入しなくても国内でのリサイクルで燃料を作れることを教えて授業を終わる。
原子燃料サイクルに賛成するか、反対するかは個人の自由である。だが、それは正しい知識に裏付けられた判断であってほしいと願うのは私だけだろうか。
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図2 使用済みウラン燃料の 組成の変化を示す図
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