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インタビュー
待ったなしの環境問題
持続可能な社会を目指す環境教育

えどがわエコセンター副理事長兼事務局長 佐々木定治氏に聞く
第13回 2007年5月21日付 本紙「環境教育特集」から
佐々木定治氏
写真 :
えどがわエコセンター
副理事長兼事務局長
佐々木定治氏
プロフィール
特定非営利活動法人 えどがわエコセンター 副理事長 兼 事務局長 全国小中学校環境教育研究会の会長などを歴任。平成18年度に江戸川区立中小岩小学校校長を退官後、現職に就任。 校長歴任時に多くの環境教育の実践を重ね、現職においてもその研究成果を生かし、活動中。
子どもに響く「もったいない」のキーワード
校長は地球の未来にむけたテーマの考案が必要


環境教育を長く継続していくために学校が配慮すべき点は何でしょうか

 学校には教育課程というものがあり、これはいわば次年度の教育の進め方を明示する宣誓文書と言えます。学校教育課程の編成会議で、校長が環境学習に取り組む主旨の方針を提示し、全校的に環境教育を行うことを明確にします。次の段階でその教育課程に基づいて教育計画を立てます。このような編成があれば、校長に人事異動があったとしても継続が保証されることになります。
 環境学習は人としてどう生きてゆくか、あるいは人間の存続にかかわる学びと言ってよいと思います。環境を大事に思うことは食べること、眠ることと表裏一体のものなのです。そのような大事な「環境」が教育課程に組み込まれる以上、学習は毎年継続されなければ意味がありません。
 環境教育を永続してゆくために重要なものは、まず学校教育課程、次いで教育計画、3番目には組織化が挙げられます。私が今年3月まで校長を務めていた東京・江戸川区立中小岩小学校を例にとると、平成15年6月に「省エネ共和国」を宣言しました。東京都で初めての試みでしたが、この共和国には児童はもちろん教職員、PTA、保護者が参加しています。また、月曜日を「省エネの日」にしました。朝礼で担当教員が「きょうは何の日?」と問いかけ、100人余の「児童省エネ隊」が外目にも分かるように節電や水回りのチェックなどの活動を行います。このように組織化すれば、校長や熱心な教員が異動になっても活動は長く続くことになります。

総合的な学習の時間にとらわれない環境学習を展開するためにはどうすればよいでしょう?

 学習指導要領には「環境教育は総合学習だけでなく道徳、特別活動の領域でも効果的に指導するものとする」との趣旨がうたわれています。江戸川区立中小岩小学校では算数でも環境教育を行っています。5年生の「小数」学習で2年間の学校の水道の使用量を比較させ「昨年1年間の水道使用量は、おととしの水道使用量の何倍ですか」と問い、数値化することで、子どもたちは省エネの成果を実感することができるようになり、生きた環境学習につながります。
 人間の日々の暮らしすべてが環境にかかわることだと考えれば、暮らしの中から出てきた算数で環境を学ぶのは当然のことで、算数で系統的に環境学習をしている学校は全国でも初めてだったと思います。また、国語、理科、家庭科には環境に直接的にかかわる単元があります。「総合的な学習の時間」がスタートした頃はイベント的な授業が多く、それだけでは児童自身で課題を見つける力がつきません。調べ学習の内容も発表も教師主導によるものが多かったように思います。しかし今は各教科の中で環境学習をどういうふうに進めていくかという視点が教師に求められています。

教師はどのような視点が必要とされますか

 教員を志す人間は環境という言葉を使わなくても、ノートは大事に使う、不要な電気は消す、教室のゴミは分別する…といったことを自然に教えることのできる基本的な人間的資質がなければいけないと思います。学校給食に対しても、配膳までの過程で食材から命をもらい、多くの人間が食材とかかわって私たちの命をつなぐ料理になっているのだ、と教えられる気付きがなければならないでしょう。
 教員になる人は大学で環境について学んでこなければいけないと思います。今年3月から、教員採用試験合格者は赴任先の学校で1週間程度の実習を行うことになりましたたが、その際、校長の責任において環境について指導することが必要だと思います。

子どもたちが環境に敏感に反応するキーワードは何ですか

 やはり「省エネ」と「もったいない」の2語。中小岩小の入学式でのこと、校長が「みなさんに心のタネをプレゼントしましょう。その中には優しさのタネが入っています」と話し、次にPTA会長が「キミたちならきっとそのタネを咲かせることができるでしょう」と続けた。すると、最後に6年生の児童代表が「私たちの省エネ共和国は電気や水を大切にするだけでなく、人の心の優しさも大事にしています」と答辞した。授業や体験学習を通じて省エネを言い続けてきた結果、子どもたちは省エネとは自然や人の心を大事にすることを通して培われる高貴な実践であると受け止めてくれていたのです。
 「もったいない」は今や世界共通語です。身の回りでできることからの積み重ねを大事にしたいですね。私は快適な暮らしの中にあっても、もったいないと思う気持ちを大事にしようと言い続けています。

企業、諸団体の出前授業や教育支援を導入する際に望ましい学校の対応とは

 学校教育は学習指導要領、教育課程、教育計画から逸脱してはならない前提がありますので、その判断は校長がすべきだと思います。そして、外部から講師を招いて授業する場合はあくまで担当教員が授業をコーディネートすべきで、外部講師に任せるという気持ちは捨てなくてはいけないですね。そのためには、講話をしてもらう内容や授業の指導案は担当教員が作り、あらかじめ講師との打ち合わせをしておくことが大事です。
 また、校長が学校経営方針の中に「省エネ」と「もったいない」という環境にかかわる用語を組み込むことと、その方針に基づいて環境に関して教育力のある外部講師を招くことが重要だと思います。 次の世代にこの地球の営みが続くためには何をすることが大切なのかといったテーマを校長が考えることが基本だと思います。


ごみの分別で資源の有効活用につなげる 給食の食べ残しをしないことも省エネの1つ リサイクルで資源を有効に
▲ごみの分別で資源の有効活用につなげる ▲給食の食べ残しをしないことも省エネの1つ ▲リサイクルで資源を有効に


■問い合わせ先
えどがわエコセンター

URL : http://www.edogawa-ecocenter.jp/
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