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導入事例紹介
活動は日本人教師とALTとのTTで行う。2人の会話場面を必ず盛り込むので、子ども達も積極的に発言するようになった
自治体が取り組む小学校英語
〜町ぐるみで小学校英語をスタート〜

茨城県猿島郡境町の取り組み
2007年1月15日付 本紙「英語教育特集」から
画像 :
活動は日本人教師とALTとのTTで行う
2人の会話場面を必ず盛り込むので、子ども達も積極的に発言するようになった
小学校専属ALTでTTが充実
小学校における英語活動は全国9割以上の小学校で実施されるほど広がりを見せている。先進校の実践を真似するのではなく、自らの地域や子どもの実態に即したカリキュラム開発を目指す学校も増えてきた。茨城県猿島郡境町は小中学校合わせて7校という規模を活かし、充実した教員研修や共同のカリキュラムづくりに取り組んでいる。全小が一斉にスタートを切ったことで、地域の英語活動への理解も高まってきた。

■全校・全学年でスタート

 境町が小学校英語を本格的に導入したのは今から3年前の平成16年度だ。「英語が使える日本人の育成」に賛同した野村康雄町長のリーダーシップのもと、平成17年度から、文部科学省の「小学校英語活動地域サポート事業」の指定を受けて研究を続けてきた。
 現在、3年生以上は総合的な学習の時間、1・2年生はゆとりの時間を使い週1時間実施する。ALTは小学校専属で3人を確保、すべて日本人教員とのTTを実現した。
 境町の取り組みの大きな特徴は、町内全ての小学校が同時に、しかも全学年で英会話活動を導入したことだ。
 研究校が先行して英会話に取り組み、数年後に成果を共有していくのでは学校間の温度差が生じてしまう。小中合わせて7校という規模を逆手に取り、活動を同時にスタートさせることにした。
 また町内の公立幼稚園ではALTが週に1度来園し、遊びを通して英語に親しむ「ハローキッズ」という活動がすでに行われていたこともあり、小学校1年生から英会話を始めることは、子ども達にとっても受け入れられやすいと考えた。

■人数の少なさが有利に

 「小学校英語活動地域サポート事業」は教育委員会が中心となり、研修や教材開発を地域連携のもとに行うことができる。
 境町では英会話活動推進委員会(16名)を、その下に各校1名ずつからなる「英会話活動実行委員会」を設置し、授業研究や年間指導計画の作成、教材開発にあたっている。
 小学校英語の課題とされる教員研修では、「小さいこと」が有利に働いた。授業を担当する教員は町内で合わせて約60人。2日間に分ければ全員参加の研修が可能だ。
 夏期研修ではALTとのコミュニケーションの取り方や授業の展開の仕方について全教員が共通認識を持つことができた。また、中学校の授業内容を知ることで、小学校英語活動の意義を再確認することにもつながった。

■ねらいと目標は先に

 境町の英会話活動のねらいは、@英語にふれ、親しみ、自己表現できる基礎的な話す力を養う A積極的にコミュニケーションする態度を身につけ、言葉や文化に対する興味・関心を深める、の2点。「聞く・話す」を中心に、楽しい英会話活動を目指している。
 同教委は渡邉寛治・文京学院大学教授や県教委、茨城大学の協力を得ながら、ねらいや目標、評価の観点と規準を明確化した。これは後に保護者や住民の理解を得るためにも役立ったという。
 「育てたい子ども像や評価規準を決めるために、外部からアドバイスを得たことは、大きな方向付けになった。国際理解教育の観点や、子どもの発達という視点を盛り込むことができた」と、山中康雄指導主事は話す。

■活動はスパイラルに組む

 年間のプログラムは、「あいさつ」「物の描写」「時間や日時」「買い物」「家族」など8〜9テーマで構成し、毎学年繰り返しながら、内容や表現がレベルアップしていくスパイラル形式をとる。
 音声を中心にした歌やゲーム、ごっこ遊びなどの活動を、グループやペア、チームといった多様な活動形態で展開する。
 例えばWhat do you want?(何がほしいですか) I want〜(〜がほしいです)という自己発信をする活動なら、担任とALTがやりとりをして見せた後に、グループに分かれて活動する。
 ものの名前には子どもたちが作った絵カードをあらかじめ貼りだしておき、子どもたちに達成感を持たせる工夫もしている。
 境小ではALTの出身国であるフィリピンの自然や文化を紹介する掲示板「先生コーナー」を作った。児童とALTとの会話のきっかけになるだけでなく、国際理解教育の教材にも活用する。

■先生自身も「変わった」

 教委が児童、保護者、教員を対象に平成18年9月に実施したアンケート調査を見ると、児童の9割以上が英会話活動を「楽しくできた」と答えており、子どもたちが積極的に英語でコミュニケーションする態度が育ってきたことが分かる。
 また、保護者の回答からは英会話活動に「賛成」が87%を占め、地域の期待の高さをうかがわせる。教師からの回答では、「ALT打ち合わせの時間がとれない」「理解にすれ違いがある」など、解消すべき課題も明らかになった一方で、72%が「英会話活動の授業が始まって自分自身が変わったと思う」と答えている。
 「ALTとの会話や英会話活動そのものが持つ楽しい雰囲気に、日本人の先生が子どもたちに接する方法も明るくなった」と山中主事は指摘する。
 境町では来年度以降も活動を継続し、指導方法の改善と向上を目指す。中学との接続のあり方も含め、小学校英会話活動の成果を検証するデータを蓄積していく方針だ。

境町教育委員会 山中康雄指導主事
境町教育委員会 山中康雄指導主事
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